仕事の合間にちまちまと読んでます。
あとがきによれば、「中央公論」二〇二〇年七月号から一一月号にかけて連載された「現代日本の分断線」と、『現代用語の基礎知識・別冊 2011→2020』に掲載の論考を大幅に加筆し、書き下ろしも加えて1冊にまとめたものだとか。そんな成り立ちだからか、各章の内容が比較的独立していて、すきま時間にパッと読むのに向いているんですよ。
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漠然とネットウォッチをしていて感じるようなことが、的確な言葉でシュッと整理されていて、読むと頭がスッキリする感じですね。
たとえば第4章。
「差別/反差別/反・反差別」が「プレモダン/モダン/ポストモダン」に対応していて、プレモダン(前近代的)な現象である「差別」を進歩的な立場から批判してきたリベラル=「反差別」の人たちは、自分たちへのバックラッシュ(反動)としてあらわれたより新しい(=ポストモダンな)現象である「反・反差別」をきちんととらえることがなかなかできない。
プレモダンな「差別」は時代の流れとともにその勢いは縮小傾向にあるが、ポストモダンな「反・反差別」はこれからさらに勢いを増していくであろうことが予想される。「反・反差別」を勢いづかせることを恐れるあまり、「反差別」の手を緩めるのは間違っているが、「反・反差別」の危険性を見過ごしたり、従来の「差別」と同じものとして過小評価するようなことをしてはいけない……とか。
「わかるー!」って感じですよ。
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それにしても、読んでいると、論考の中に登場する「炎上」の事案を結構忘れていることにゾッとします。
おそらくこのエントリを読んでいる方の多くもそうではないでしょうか(※エントリのタイトル回収)。
岩手県議の小泉光男氏の一件とか、ご記憶されています? NIKEのCMの件はどうですか? 「最初から知らなかったよ」という人はまだアレですが、いわれて、「あーっ! あったね!」となる人は、私と似たような恐怖をぜひ感じてほしい。ネット中毒同士、同病相哀れもうじゃありませんか。
ネットはほんとうに話題の消費速度が速い。でも、そうやってあっさり消費される出来事で、人生が大きく変わってしまう人、あまつさえ、命を落とす人がいることを、忘れないようにしなければ……と、あらためて自戒した次第。こんな反省は、何度してもいいものですからね。
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姉さん、インターネットは怖いところです。
なんとか死ぬまでには、上手いこと付き合う術を見つけていきたいものですわ。